日本財団 図書館


 

チャッダー:リソースパーソン(インド)
私は、インド政府の役人です、通常、私どもは国会議員のお話を聞く立場であり、行政の側から話をしてはいけないのですが、発言の機会をいただきました。
インドの持続可能な開発について、少しお話しします。一般的に持続可能な開発というのは、今、自然からその資源をとる。しかし、将来の世代、子供たち、孫たちのために、やはりその資源を残していかなければいけない。彼らも私たちと同じように天然の恵みというものを持続的に受けることができるような開発が、持続可能な開発です。
この持続可能な開発というのは、定義としては新しい、また、言葉としても新しいものですが、2000年前からこういうことは考えられてきました。
母である自然は、私が再生産できないほど私から取ってはいけないのよ、といっていたのはもう2000年前のことです。自然から、母であるこの地球から私どもはすべてを取ってしまってはいけないのです。将来の私どもの子供たちのために残していかなければならないのです。
たとえば、金の卵を生んだ雌鶏がいました。農夫は毎朝、この鶏が卵を生むとき鶏の声を聞いていました。雌鳥は毎日毎日1つずつ金の卵を生んでくれて、この農夫は、大金持ちになっていきました。しかし、この農夫はだんだん食欲になり、欲が出てきて、なぜ自分は毎日、1個の卵を待たなければならないのか、いっぺんに生ませればもっと金持ちになると思った。無理をして一度に卵を生ませようとして結局は、金の卵を産む雌鳥を殺してしまい、すべてがなくなってしまった、というのがその話の結末です。
我々も食欲に走って、自然からすべてを奪い取ってしまってはいけなのです。そういったことを続けると、いずれ何も残らないという状態が来ます。持続可能な開発はできなくなるのです。
マハトマ・ガンジーが自由を獲得するために闘っていた時代に、ガンジーはインドはその当時の人口の2倍を養うことができると言っていました。しかし、今日実際に私どもはその当時の人口の3倍の人口を扶養しています。
持続可能な生産を行うためには、単に生産性を上げるだけではなく、そこに使われる耕作技術が持続可能な開発と適合的なものであることが必要となります。インドで、農業生産性を非常に上げることができ、肥料や農薬などの、農業投入物をうまく使うことが可能になりました。
しかしながら、私どもが持っていなかったのは、農業のきちっとした政策です。農業政策に関して、インドでは、何か問題があったときには皆座って頭を悩まして、考えて政策を出したわけです。実際に、その土地が肥沃でなくなった時に、肥料を投入してきたわけです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION